安価なDTP用ソフトウェアがなぜ出ないのか

PDFが”版下”になった時代

還暦を超えた同業者のお客様が「今のPDF入稿は昔の版下的な感じだね」と仰ったことが印象に残っている。

DTPの黎明期からつい最近まで印刷用のデータというのは、ブラックボックス的な感覚が色濃く残っていた。お約束がたくさんあり、それを遵守しないと出力エラーの責任は、データ作成者に倍返しで戻ってきた。どこまでキッチリつくれば問題ないのかも、現場のレベルによって大きくばらついていた。

今では、出力の言語そのものがポストスクリプトからPDFに完全に変わったので、どのような手段で入稿データを作っても、PDFに描き出した時点でインタープリットが終わっている。故に、デザインクオリティ以外で、データの素性に差異はない。解像度と塗り足しに関してだけ、お客様と問題意識の共有ができていれば、Adobeのソフトウェアで作らなければプロにあらずみたいなことも、理屈上は無くなった。

Adobe以外のソフトウェア会社はチャンスでは?

版下的な方眼紙の発想を折り込んだ安価なDTPソフトを出せば、爆発的とはいわないまでも、相当売れるとおもう。よく揶揄される「エクセル方眼紙」みたいに、目安があってそこにパーツを配置していくデータの作り方は、日本人の感覚にマッチしている。

新規で「A4」を選んだらトンボが既についた方眼紙的なフォーマットが画面に現れ、さらにクリックで代表的なレイアウトを選んで、あとはパーツを配置していって、最後にPDF/X-4で出力。こんなソフトウエアがあってもいいとおもう。あればネット印刷の市場も確実に広がるはずだ。