Pages作成データ印刷の最大の問題点について
お客様からデータをご入稿いただく際、時々こんなご相談をいただきます。
「Mac・iPadの画面では完璧に見えていたのに、印刷会社に送ったら『文字が消えていますよ』と連絡が来た…」
ご自身の環境では問題なく表示されるのに、不思議ですよね。実はこれ、Mac・iPadのPagesをお使いのお客様によく発生する現象で、決してデータ作成のミスではありませんのでご安心ください!
今回は、この「文字消え」現象の原因と、誰でも簡単にできる解決策を分かりやすくご紹介します。
なぜ文字が消えちゃうの?たった一つの大きな原因
結論から言うと、原因はMac・iPadの「プレビュー」アプリと、私たちが印刷業界で使うAdobe社の「Acrobat」というソフトの「見え方の違い」にあります。そして印刷業界の製版はAdobeのPDFエンジンを使って行われます。
Macの「プレビュー」アプリ

Pagesと同じApple製なので、いわば「家族」のようなもの。Pagesが作ったデザインの意図を完璧に理解して、きれいに表示してくれます。Appleの基本ソフトの一つでMac・iPad・iPhoneに標準搭載されています。
Adobe社の「Acrobat」

PDFのルールにとても厳しい、いわば“真面目な審査員”。少しでもルールブックと違う曖昧な指示があると、「これは解釈できない!」と判断し、その部分を表示しないことがあります。
そして、その“真面目な審査員”であるAcrobatを特に悩ませるのが「透明効果」を使ったデザインです。
Acrobatを悩ませる「透明効果」ってなに?
「透明効果」と聞くと難しそうですが、皆さんも無意識に使っているはずのデザイン機能です。
- 文字や図形につける「影(ドロップシャドウ)」
- 図形の色を「半透明」にする
- 写真の周りを「ぼかす」効果
これらの「透けている」部分の表現は、実はPDFにとってはとても複雑な計算が必要です。
PagesからPDFを作る際、「この半透明の図形と、その下にある黒い文字を重ねて、最終的にこの色で表示してね」という指示書が作られます。しかし、この指示書が少し曖昧な表現だと、Acrobat君は「うーん、計算できないから、この文字は表示しないでおこう…」と判断してしまうのです。
これが、Mac・iPadの画面では見えていた文字が、印刷会社の環境(Acrobat)で消えてしまう現象の正体です。
【解決策】これを試せば9割解決!魔法のPDF作成術
難しい話はここまでです!ここからは、この問題を一瞬で解決する「魔法の方法」をご紹介します。デザインを変更する必要はほとんどありません。
それは、「書き出し」機能ではなく「プリント」機能を使ってPDFを作成することです。
- Pagesで完成したデータを開き、メニューバーの「ファイル」から「プリント…」を選択します。
- 印刷設定の画面が出てきたら、左下にある「PDF」というボタンをクリックします。
- メニューの中から「PDFとして保存」を選んで、名前を付けて保存します。
たったこれだけです!
この「プリント経由」の方法でPDFを作成すると、Acrobat君にも分かりやすい、とても丁寧な指示書(PDF)が出来上がります。そのため、文字が消えたり、デザインが崩れたりするトラブルを大幅に減らすことができます。
データをご入稿いただく際は、ぜひこの方法で作成したPDFをお送りください。
もし「プリント作戦」でも解決しなかったら?
ほとんどの場合は上記の方法で解決しますが、万が一うまくいかない場合は、以下の点をご確認ください。
- 「影(シャドウ)」を外してみる: 文字や図形に適用している影の効果をオフにすると、解決することがあります。
- フォントを変更してみる: もしデザイン性の高い特殊なフォントをお使いの場合、Macに標準で入っている「ヒラギノ角ゴ」や「游ゴシック体」などに変更していただくと、問題が解消されることがあります。
まとめ
- Pagesで作ったPDFの文字が消えたら、まずは慌てずに「プリント機能からPDF保存」を試しましょう!
- 原因の多くは、デザインで使われる「透明効果(影や半透明)」です。
- この一手間を加えるだけで、スムーズなデータ入稿につながります。
私たちプリントエクスプレスでは、お客様が安心してデータをご入稿できるよう、いつでもサポートさせていただきます。もしデータ作成で不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
※あと一つお薦めしたいのはAdobeのAcorobat Readerのイントールです。これで入稿前に確認すれば事故は確実に防げます。