2020年のネット印刷業界 回顧

2020年は消費税増税の逆風から始まり、用紙価格の一律20%引き上げと、コロナの影響が及ぶ前から悪い要素だらけでした。トドメのように、新型コロナウィルスのパンデミックが世界を震撼させ、3月末にはオリンピック延期決定。緊急事態宣言と続き、あるはずだった印刷物の需要が蒸発してしまいました。

ウィルス禍の恐ろしさは短期間に終わらないことです。夏と初秋の気の緩みを経て、11月末から第三波が訪れ、印刷業界は再度の大きな需要の蒸発に対峙しなくてはならなくなりました。

パンデミックに加えて、消費税増税、用紙価格高騰の煽りというトリプルパンチを受けて、印刷業界の中では比較的伸びしろがあるといわれたネット印刷業界にも厳冬期が訪れ、ネット黎明期からの老舗の廃業が目につきました。特にその中の数社は弊社的にも長らく競合として強く意識してきたために、彼らの市場からの撤退には大きな衝撃を受けました。

極めて厳しい逆風の中、総需要が著しく減る中で体力のある大手が残存需要をかき集める営業攻勢を強める環境下では、中堅以下の事業者は来年以降、更に厳しい経営環境が予想されます。先行事例があった同業者間の合併や統廃合が多発する可能性も高いでしょう。

第三波の収束が遅延し、オリンピック中止が確定的にでもなれば、印刷業界に明るい材料はほとんどありません。ワクチンの開発成功が未来に明るい一筋の光を照らしているとはいえ、一度蒸発してしまった印刷需要が回復するには数年の時間軸が必要でしょう。