ネット印刷業界の栄枯盛衰(過去10年)

弊社の創立から10年経ちました。ネット印刷(印刷通販)業界には12年間も関わっています。10年前と現在で業界の景色がどう変わったかを私の目から見てザックリと書きたいと思います。

生き残って大きくなった会社と勢いが潰えた会社

現在の業界トップと二位は順番こそ入れ替わりましたが、その二社は不動のトップ2です。一方三番手以外の会社は栄枯盛衰がハッキリとしています。弊社の母体会社は三番手グループの上位です。

失速の理由 1 設備投資を怠る

10年前の三番手グループの中で失速した会社はいくつもあります。失速した理由を考えると「業務拡大に伴う投資を怠った」という理由につきます。弊社の母体会社は町工場から広大な敷地の工場に9年前に移転しました。上位二社は果敢すぎるほどの拡大路線です。それ以外の大手も10年前と同じ地位を確保したり、業績を伸ばした会社は間違いなく、需要に応えるための投資に躊躇しませんでした。

一方、業界での存在感を著しく落とした会社は「既存の設備の稼働率を上げるためのネット受注」という発想から抜け出せなかったところばかりです。いいかえると「需要視点ではなく、供給側の理屈」で経営をしていたゆえに存在感をなくしていったのです。

失速の理由 2 ネット受注を副業として捉えていた

次に多いのが「メインは得意先に対する営業活動、ネット受注は副業」そういう意識がつよい会社は、ほぼ間違いなく業界内での存在感を著しく落としました。7年前から5年前ぐらいに、中堅の印刷会社がこぞってネット受注に乗り出したバブル的な時期がありました。しかし、それらの会社は軒並み撤退してしまいました。太い顧客からの大口受注が生命線の中堅印刷会社の多くは、ネット印刷で圧倒的に多い「小ロット」を軽視していました。それ故、「ロングテールを掻き集める」というネット商売のキモを理解出来ず、結果的に損益分岐点を上回る受注を集められず撤退、こういうパターンが異常に多かったです。