コロナ禍 一年経過と印刷業界

昨年の今頃、一年後にも緊急事態宣言が発令されているとは夢にも思わなかった。今までの厄災というのは一過性のものであり、通り過ぎればあとは復興するのみだった。それがコロナ禍では、押し寄せる波のように社会の緊張がなんども高まり、至る所で軋みが多発している。

ネット印刷業界の主な印刷物は圧倒的に「イベント告知系チラシ・フライヤー」である。それがコロナで8割方消滅してしまった。それでも今年のゴールデンウィークぐらいには元の状態に戻るだろうという楽観のもとに企画されていた各種催しが、かき消すように中止・延期の嵐だ。

一年というスパンを挟むとイベントを企画する主体が消滅してしまうこともある。そうなるとワクチンが普及して本格的に社会が再起動モードに突入しても、企画をして予算を配分する主体が不在であると環境が整っても何も催されない。そういう悪夢が一部現実化しつつある。

夏のイベントがどうなるのか・・ そもそもオリンピックも不透明だ。強行開催されても印刷物の需要は少なそうだ。印刷業界の中では相対的には堅調だったネット印刷業界も逆風が吹き荒れている。大都市に設置した営業拠点を撤収する企業が増えている。

一つだけ明るい点を上げるとすれば、テレワーク・リモート授業等の広がりによって、PCの保有率が飛躍的に跳ね上がったことだ。安価なDTPソフトウェアのシェアも少しずつ伸びて、印刷データを作成できるスキルを持った人の母数が確実に増えている。そういった人たちにネット印刷利用の啓蒙をすることは、更に重要になるだろう。弊社も動画を利用した需要喚起の試みを本格化させる。環境が悪いときこそ、将来のビジネスの萌芽がある。弊社も前向きに努力していく所存である。